症例紹介

歯科・口腔科

乳歯遺残

こんにちは。神奈川県秦野市の「みかん動物病院」獣医師の森田です。

「歯が2列に並んで見える」「口が少し閉じにくそう」「噛み合わせが気になる」といった変化に気づくことがあります。

こうした見た目の変化は、乳歯が自然に抜けずに残っている「乳歯遺残」かもしれません。

今回は、飼い主様が見逃したくない「乳歯遺残」の見分け方や受診の目安、当院での治療法まで詳しく解説していきます。

 

■目次
1.犬・猫の乳歯遺残とは?|歯の生え変わりで起こるトラブル
2.自宅で気づけるチェックポイント|「二重歯」が大きなサイン
3.乳歯遺残を放置するとどうなる?|歯並びだけではない口腔トラブル
4.動物病院での処置の流れ|乳歯遺残の抜歯はどう進む?
5.まとめ

 

犬・猫の乳歯遺残とは?|歯の生え変わりで起こるトラブル

乳歯遺残とは、永久歯が生えてきているのに、乳歯が抜けずに残っている状態です。特に犬でよく見られ、小型犬の相談が多い傾向にあります。

また、見た目だけの問題ではなく、その後の歯並びや汚れのたまりやすさ、歯ぐきへの負担につながる恐れがあります。

こちらは、乳歯遺残の見え方の一例です。

・犬歯が二重に見える
・前歯が重なって並んで生える
・永久歯が少しずれた位置から出てくる

一般的に、犬や猫の歯は生後数か月ごろから乳歯が抜け始め、永久歯へ生え変わっていきます。生え変わりの時期は変化が早く、様子を見ている間に永久歯の位置へ影響が出てしまう恐れがあります。
気になる歯並びを見つけた時は、早めに口の中を確認してもらいましょう。

 

自宅で気づけるチェックポイント|「二重歯」が大きなサイン

ご家庭で最も気づきやすいサインは、歯が2列に見える「二重歯」です。

特に確認しやすいのは、上下の犬歯や前歯のあたりです。口を少し開けたタイミングで「細い乳歯の横から太い永久歯が出ていないか」を見てみましょう。

あわせて「左右で生え変わり方に差がないか」も確認したいところです。片側は抜けているのに、もう片側だけ残っている場合には、乳歯遺残が疑われます。

ただし、確認する時は無理に口をこじ開ける必要はありません
見える範囲でやさしく様子を見て、気になる部分があれば写真を撮っておくと、変化を比べやすく、受診時の説明にも役立ちます。

また、以下のサインは乳歯遺残だけに限らず、口腔内のトラブルが考えられます。

✓ 口臭が強くなっている
✓ 歯茎に歯が当たっている
✓ ごはんを食べにくそうにしている

気になる変化に気づいた時だけではなく、動物病院へは定期的に歯のクリーニングやお口のチェックへ行けると、予防や早期発見につながります。

 

乳歯遺残を放置するとどうなる?|歯並びだけではない口腔トラブル

乳歯遺残は、見た目だけの問題ではありません。放置すると、次のような悪影響を及ぼすリスクが高まります。

・乳歯と永久歯の間に汚れがたまりやすくなる……歯石・歯肉炎
・二重歯の状態によって歯みがきがしにくくなる……歯周病
・永久歯の生える位置がずれる……歯並び噛み合わせの異常
・歯の向きで別の歯や歯ぐき、口蓋に当たる……違和感ストレス食べづらさ

残った乳歯を放置すると歯が抜けにくい状態になり、愛犬・愛猫にとっては違和感や負担が大きくなります。また、歯周病に至ると、全身の健康に悪影響を及ぼします。
「そのうち抜けるだろう」と様子を見続けるのではなく、早い段階で口腔チェックをし、リスクの芽を摘んでおきましょう。

ただし、乳歯の根は細く、無理に扱うと折れやすいため、自宅で引っ張ったり自己判断で触ったりすることは避けてください。

歯周病についてはこちらで解説しています

 

動物病院での処置の流れ|乳歯遺残の抜歯はどう進む?

診察では、まず無理のない範囲で口の中を確認し、どの乳歯が残っているか、永久歯の生える位置にずれがないか、歯ぐきや噛み合わせに影響が出ていないかをみていきます。

診察の結果、

・永久歯の位置に悪影響が出ている
・抜ける見込みが低いと考えられる
・歯肉炎や汚れのたまりが目立つ

このような所見がある場合には、状態に応じた処置を進めていきます。

乳歯遺残をはじめとする口の中の処置は、麻酔を扱うのが一般的です。これはお口の中を安全に確認し、恐怖や痛みを抑えながら丁寧に処置を進めるためです。
処置の際には、残っている乳歯だけでなく、口の中全体の状態もあわせて確認します。

必要に応じて歯石除去(スケーリング)や歯肉の状態もみながら、口のトラブル全般に対処していきます。

当院の歯科処置は術前検査を踏まえた麻酔管理、痛みに配慮した処置、見えない部分まで丁寧に行います。なるべく愛犬・愛猫の負担が少ないように配慮しているので、安心してお任せください。

スケーリング(歯石除去)についてはこちらで解説しています
麻酔についてはこちらで解説しています

 

まとめ

乳歯遺残は、見つけた時点では元気に過ごしていても、将来の歯並びや歯周病に関わることがあります。「二重歯かな」と感じた段階で相談できると、永久歯への影響や歯ぐきへの負担を抑えやすくなります。
「そのうち抜けるだろう」と軽くとらえずに、早めに対処することで、愛犬・愛猫の日々も快適にできます。

当院では、日々の歯科・口腔ケアから負担と安全性に配慮した麻酔を用いた高度な処置まで幅広く対応しています。子犬・子猫期の生え変わりの時期ならではの不安や歯みがき方法もお気軽にご相談ください。愛犬・愛猫の現在から未来のお口の健康を一緒に守っていきましょう。

 

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