症例紹介

整形外科

大腿骨矯正骨切り術

こんにちは。神奈川県秦野市の「みかん動物病院」獣医師の森田です。

膝蓋骨脱臼(いわゆるパテラ)は、日常診療でも非常に多く見られる整形外科疾患です。
その中でも重度のケースでは「大腿骨矯正骨切り術」という手術が必要になることがあります。

そこで今回は、膝蓋骨脱臼の概要や治療手段としての「大腿骨矯正骨切り術」について、グレードⅣ(グレード4)の症例とともに解説していきます。

 

■目次
1.膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?グレード分類の基本
2.大腿骨矯正骨切り術とは
3.当院での症例紹介
4.術後の経過と飼い主様へのお願い
5.まとめ|パテラの早期発見・早期相談が大切な理由

 

膝蓋骨脱臼(パテラ)とは?グレード分類の基本

膝蓋骨脱臼とは、膝のお皿(膝蓋骨)が本来あるべき位置から外れてしまう状態です。
小型犬(トイプードル・チワワ・ポメラニアンなど)に多い疾患ですが、どの犬種でも起こり得ます。

次のような日常の違和感からご相談につながることがほとんどです。

・後ろ足を伸ばせない
・膝を曲げたまま、うずくまるように歩く
・スキップするような歩き方をする
・片足を浮かせたまま歩く
・膝の痛みが強く、犬が自力で歩けない様子を見せる

また、この疾患は進行度によって、次のように分けられます。

グレードⅠ…普段は正常だが、押すと外れる
グレードⅡ…ときどき外れるが自然に戻る
グレードⅢ…基本的に外れているが手で戻せる
グレードⅣ…常に外れていて、手でも戻せない

グレードⅣになると、単に膝のお皿が外れているだけではなく、骨自体が変形しているケースも少なくありません。また、その状態が長く続くと筋肉が固まり、足が伸びなくなる恐れもあります。

当院では重度の膝蓋骨脱臼に対する手術が可能です。また、他院では手術が難しい場合のセカンドオピニオンにも対応しています。

膝蓋骨脱臼(グレード3)の症例はこちら

 

大腿骨矯正骨切り術とは

重度の膝蓋骨脱臼では、通常の手術だけでは元の位置に戻せないことがあります。そのような場合に検討するのが「大腿骨矯正骨切り術」です。

この手術は、曲がった大腿骨の変形やねじれ、骨の長さのバランスを整えるために行われます。
そのために一度骨を切断し、LCPプレートで固定したのちに、正しい形に戻していくのです。

通常は、膝蓋骨脱臼整復術の術式に組み合わせる形で行われています。

 

当院での症例紹介

こちらは先天的な膝蓋骨脱臼グレードⅣで約1年間にわたり症状が続いた子の例です。
その間に、筋肉の拘縮(固まってしまう状態)が起こり、大腿骨が変形してしまっています。
そして、膝が伸ばしづらく、後ろ足は物理的に伸ばせない状態まで進行していました。

このケースでは通常の膝蓋骨脱臼の整復に加えて、以下の内容で手術を実施しました。

(1)大腿骨の一部を短くする骨切り
(2)骨の向きの矯正
(3)LCPプレートによる固定

こちらのレントゲン写真からは、手術によって大腿骨の長さを調整したため、術前と比較すると骨の長さは短くなっていることがわかります。

レントゲン写真Before:骨のつなぎ目に赤丸がある/After:手術によって固定具が入り、大腿骨の長さが短くなっている

また、膝の内側に存在していた膝蓋骨(赤丸部)も、整復後は脛骨の上に戻されています。

レントゲン写真Before:膝の内側に存在していた膝蓋骨(赤丸部)/After:整復により脛骨の上に戻っている

術後は少しずつリハビリを進めていき、徐々に足を使えるようになっていきました。

重度の症例でも、適切に治療を行えば、足をついて歩くことは十分に期待できます

 

術後の経過と飼い主様へのお願い

手術後の過ごし方は、とても大切です。足に負担をかけない環境と過ごし方によって、回復がスムーズになります。

ご家庭でもできる工夫の一例です。

・フローリングには滑り止めマットを敷く
・ジャンプや急な動きは控える
・指示された範囲での運動にとどめる

「犬が膝の手術をした後、本当に元通り歩けないのではないか」と不安に思う飼い主様もいらっしゃいますが、適切な術後管理とリハビリを行うことで、多くの子たちは自分の足で力強く歩けるようになります。
当院では手術後もしっかり経過観察とフォローをするのでご安心ください。

 

まとめ|パテラの早期発見・早期相談が大切な理由

膝蓋骨脱臼は、進行すると骨の変形を伴う恐れがあります。
そうなると、手術の難易度が上がり、愛犬への負担も大きくなるでしょう。また回復までの時間も長期化しやすいです。

そのため「ちょっと歩き方が変かも?」と感じた時点で、動物病院へ一度ご相談いただくことをおすすめします。

当院では整形外科診療に力を入れており、重度の膝蓋骨脱臼に対する外科治療にも対応しています。気になる症状があれば、いつでもご相談ください。

 

■当院の予約はこちら
電話番号:0463-84-4565
web予約:https://mkn-a-hospital.reserve.ne.jp/

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