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動物病院の麻酔は安全?|犬や猫の麻酔リスクと安全対策を解説

こんにちは!
愛玩動物看護師の若月です🍊
避妊手術や去勢手術、スケーリングなどの歯科処置、その他手術やCT・MRIなどの画像検査を行う際に必要になってくるのが“麻酔”。
「うちの子に麻酔をかけるのは怖いな…」
「もしものことがあったらどうしよう…」
「本当に麻酔は必要なの??」
「危険はないのかな…」
愛犬や愛猫のために必要なのはわかっているけど…。
「麻酔」に対して不安を感じていませんか?
動物病院では、痛みや恐怖を出来るだけ抑えながら、正確に手術や処置、検査を行うために、麻酔が欠かせない場面があります。
現在は獣医療における麻酔の技術も進歩し、以前に比べて安全に実施できるようになってきました。
今回は、麻酔が必要な理由と、麻酔のメリットや当院での安全のための取り組みまで、わかりやすくお伝えします🍀

■目次
1.️麻酔をかける目的とは??
2.全身麻酔と局所麻酔の違いとは??
3.麻酔をかけられることで得られるメリット
4.全身麻酔のリスクついて
5.安全に麻酔をかけるために行っていること
6.飼い主様の納得と安心のために
7.️さいごに
【👨⚕️麻酔をかける目的とは??】
外科手術の際には、全身麻酔を用いることで痛みや不安を感じさせず、体を動かさずに安定した状態で処置を行えるようにします。これにより、安全で正確な治療が可能になります。
また、麻酔が必要になる場面は「避妊・去勢手術」や「軟口蓋の切除」のような外科手術だけではありません。
例えば、口を大きく開けた状態を保つ必要があるスケーリング(歯石除去)や、ブレのない画像を撮影する必要のあるCT・MRI検査のように、動かずにいて欲しい処置でも用いられます。
人の場合は「じっとしていてください」と説明して協力を得られる場面でも、犬や猫では同じようにはいきません💦
痛みや不安、恐怖がある状態で無理に抑えて処置をすると、強いストレスがかかるだけでなく、思わぬ動きによって怪我や処置ミスにつながることもあります。
麻酔は決して「怖いもの」ではなく、大切な我が子の痛みや恐怖を取り除き、安心して治療を受けるための「心強い味方」だと前向きに考えていただければと思います。
▼避妊去勢手術についてはこちらで解説しています
▼スケーリングについてはこちらで解説しています
【👨⚕️全身麻酔と局所麻酔の違いとは??】
麻酔には、全身麻酔と局所麻酔があります。
それぞれ役割や適した場面が異なるため、処置の内容や犬・猫の状態に合わせて使い分けます。
| 種類 | 全身麻酔 | 局所麻酔 |
|---|---|---|
| 特徴 | 意識をなくし、体を動かない状態に保つ | 体の一部だけ痛みを感じにくくする |
| 利用場面 | 手術、歯科処置、CT・MRI、長時間の処置 | 一部の小さな処置、全身麻酔に加えて痛みを抑える |
| メリット | 痛み・恐怖・体動を抑えやすく、精密な処置がしやすい | 必要な部位に絞って鎮痛できる |
| 注意点 | 呼吸や血圧、体温など全身管理が必要 | 意識は残るため、単独では対応できない処置も多い |
また、麻酔中や術後の痛みが抑えやすくなり、全身麻酔薬の必要量を減らせるといった理由から、実際には全身麻酔と局所麻酔を組み合わせることもあります。
【👨⚕️麻酔をかけられることで得られるメリット】
「麻酔=怖い」というイメージがあるかもしれませんが、麻酔を行うこと自体にも大きなメリットがあります。
<❤不安や恐怖を軽減し、ストレスを減らす>
大きなメリットのひとつは、ワンちゃん・ネコちゃんたちの不安や恐怖を和らげることです。
強い緊張が続いた状態では、呼吸や心拍が乱れやすくなります。
また、犬や猫の恐怖心や興奮を強めにくく、処置にまつわる嫌な記憶を残しにくい点もメリットです。
落ち着いた状態を作ることは、処置のしやすさだけでなく、動物たちの負担軽減にもつながります。
<❤筋肉の緊張を緩める>
筋肉の緊張を緩めて処置をスムーズに進めやすくなる点も重要です。
手術や精密な処置では、わずかな動きが大きな影響につながることがあります。
麻酔によって安定した状態を保てるからこそ、必要な治療を丁寧に進めやすくなります。
<❤痛みの緩和>
痛みは体に強い負担をかけ、回復にも影響します。
麻酔では「眠っているかどうか」だけでなく、「痛みがきちんと抑えられているか」を重視して薬剤を組み立てます。
その子の状態に合わせて麻酔や痛み止めを組み合わせることで、処置中だけでなく処置後の負担軽減にも配慮しています。
もちろん麻酔にはリスクもありますが、無理な保定による強いストレスや処置中の危険を避け、必要な検査・治療の精度を高められるという点で、得られるメリットが大きいケースは少なくありません。
【👨⚕️全身麻酔のリスクついて】
麻酔にはメリットだけでなく、もちろんリスクもあります。
リスクというと怖いイメージが湧いてしまうかと思いますが、正しく知ったうえで、犬や猫にとって何が最善かを考えられるといいですね。
🔹薬剤に対するアレルギー反応・アナフィラキシー
ごくまれではありますが、使用した麻酔薬や関連する薬剤に体が強く反応し、急激な血圧低下や呼吸状態の悪化などを引き起こすことがあります。
🔹血圧の低下
麻酔の影響で血圧が下がることがあります。
状態によっては、心臓や腎臓などの臓器への血流が低下する可能性があります。
🔹体温の低下
麻酔中は体温調節機能が低下しやすくなります。
特に小さな子や幼齢の犬・猫では低体温に注意が必要です。
🔹呼吸状態の変化
麻酔の影響で呼吸が浅くなったり弱くなったりすることがあるため、酸素化や換気の管理が重要になります。
🔹心臓や腎臓などへの負担(心不全・腎不全)
麻酔や手術の影響によって臓器に負担がかかり、もともと持病がある場合には症状が悪化する可能性があります。
ただし、このようなリスクは、麻酔の前から麻酔中、回復までを通して丁寧に管理することで軽減できます。
麻酔中も呼吸や心拍、血圧、体温などを細かくモニターしながら、状態の変化に応じて必要な薬剤の投与などを行い、速やかに対応できるよう管理しています。
<⭐個々の状態や年齢によるリスク>
麻酔の性質に加えて、もともと心疾患や腎疾患などの持病がある場合や、緊急手術で全身状態が不安定な場合には、より慎重な判断が必要になります。
また、麻酔で気を付けるポイントは年齢によっても少しずつ異なります。
幼犬・幼猫では体温が下がりやすく低血糖にも注意が必要です。
一方、シニア期は持病がある場合や臓器の動きが低下している可能性もふまえて、術前検査で状態を確認しながら慎重に進めていきます。
これは一律に「持病があるから、〇歳だから麻酔が出来ない」というわけではありません。
個々の体力や状態を見ながら、体に負担のかかりにくい方法を選んでいきます。
これまでかかった病気や体質などは、ぜひ獣医師にもお伝えください。
一緒に向き合い方を考えていきましょう。
【👨⚕️安全に麻酔をかけるために行っていること】
当院では、麻酔を行う際も一頭一頭の状態を丁寧に確認し、その子だけの計画を立てていきます。
そして麻酔が始まる前から無事に終わるまで、安全に配慮しながら進めています。
🍊術前検査(血液検査・凝固系検査・胸部レントゲン・心電図・心エコーなど)
麻酔の前には、全身の状態を確認します。
しかし、すべての犬や猫に一律の術前検査を行うわけではありません。
手術や処置の内容、年齢、健康状態、持病の有無などを踏まえながら、術前検査でどの項目を確認するかを検討していきます。
🍊術前の準備
安全に麻酔を進めるためには、事前の準備も欠かせません。
点滴や静脈ラインの確保、使用する薬剤の準備などを行い、状態の変化があった時にも落ち着いて対応できるよう整えていきます。
呼吸や循環への配慮が必要な場合には、より慎重に準備を進めます。
🍊術中のモニタリング
麻酔中は静かに眠っているだけのように見えますが、その間も体の状態は細かく見守られています。
呼吸や心拍、血圧、体温などを確認しながら、小さな変化にもすぐに対応できるよう管理を続けます。こうしたモニタリングを重ねることで、麻酔中の異常にもできるだけ早く気付きやすくなります。
🍊薬剤の使用
痛みを抑えるための鎮痛剤、血圧の低下に対応するための昇圧剤や点滴、心臓の働きを支えるための強心薬などを適切に用いながら、体への負担を可能な限り少なくできるよう管理していきます。
また、当日までの体調やご様子によっては、無理に麻酔を進めず、別日での実施をご提案することもあります。
「以前の麻酔後に気になる反応があった」「昨夜から食欲がない」といったことがあれば、あわせてお知らせください。
【👨⚕️飼い主様の納得と安心のために】
麻酔の処置をするうえでは、飼い主様に十分ご理解いただいた上で進めることが大切だと考えています。
当院では、麻酔を伴う処置の際に麻酔同意書を用い、麻酔が必要な理由や処置の流れ、考えられるリスクと対策についても丁寧にご説明しています。
飼い主様の不安に寄り添い、質問しやすい雰囲気づくりも心掛けています。
少しでも気になることがあれば、遠慮なくお尋ねくださいね。
【👨⚕️さいごに】
今回は
・麻酔をかける目的
・全身麻酔と局所麻酔の違い
・麻酔をかけることで得られるメリット
・全身麻酔のリスク
・安全に麻酔をかけるために行っていること
・飼い主様の納得と安心のために行っていること
上記についてお話しました。
麻酔と聞くと、どうしても不安な気持ちを抱いてしまうものですよね。
しかし、麻酔は犬や猫に無理な負担をかけず、必要な治療や検査を受けてもらうための大切な支えでもあります。
気になることや迷うことがあれば、一緒に考えていきましょう。
納得したうえで治療に臨めるよう、どんな小さなご不安でも当院までお気軽にご相談ください。
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