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内分泌科

猫の甲状腺機能亢進症の原因と症状、治療について|獣医師が解説|秦野市のみかん動物病院

神奈川県秦野市・伊勢原市・平塚市・中井町・二宮町・小田原市の皆様こんにちは。
神奈川県秦野市のみかん動物病院、獣医師森田です。

高齢の猫は多くの健康問題に直面しますが、特に甲状腺機能亢進症は老猫に頻繁に見られる内分泌の病気です。この病気は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、多様な身体的な症状を引き起こします。

今回は、猫の甲状腺機能亢進症について原因や症状、治療法などを解説します。

 

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因

甲状腺機能亢進症は、特に老猫に見られる内分泌系の疾患です。
猫の喉近くに位置する甲状腺が何らかの理由で大きくなる(良性の腫瘍や過形成など)ことにより発症します。甲状腺が大きくなると、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるようになります。
この甲状腺ホルモンは体内の代謝機能を活性化する役割を担っており、その過剰な生成によって体温の上昇、心拍数の増加など、全身の代謝活動が過剰になります。

甲状腺が過形成を起こす正確な原因はまだ完全には明らかではありませんが、食事や環境要因が関与している可能性が指摘されています。

 

症状

甲状腺ホルモンは新陳代謝や自律神経の働きを調節する役割があるため、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されると、様々な症状が現れます。
例えば、食欲の増加にもかかわらず体重が減少する、活動性の亢進、多飲多尿、下痢や嘔吐などの消化器症状、毛並みの劣化、心拍数の増加や高血圧などが挙げられます。

これらの症状は、甲状腺ホルモンが身体の新陳代謝や自律神経の働きに及ぼす影響によるものです。症状の進行によっては、全身の衰弱を招く可能性もあります

 

診断方法

病気を特定できる特徴的な症状が現れにくいため、慎重なアプローチが必要です。問診において上記の症状が確認された後、身体検査、血液検査、エコー検査を実施します。

血液検査では、甲状腺ホルモンの濃度を測定し、エコー検査で甲状腺の大きさや形状を評価します。これにより、甲状腺機能亢進症の確定診断が可能となります。

 

治療方法

治療には抗甲状腺薬による内科療法、外科療法、食事療法があります。老猫では慢性腎臓病の併発が多いため、治療選択においては腎機能への影響を考慮する必要があります。

内科療法では甲状腺ホルモンを抑制する薬を使用し、外科療法では腫大した甲状腺を摘出します。治療の選択は、猫の健康状態や併発疾患の有無に応じて行われます。

 

予防法やご家庭での注意点

甲状腺機能亢進症の予防法は現在のところ確立されていません。しかし、定期的な健康診断、特に7歳を過ぎた老猫においては半年に一度の血液検査を含む健康診断を推奨します。これにより、病気の早期発見・早期治療につながります。日常生活では、愛猫の食欲や活動性、体重の変化に注意し、何か異変を感じたらすぐに獣医師に相談しましょう。

 

まとめ

甲状腺機能亢進症は、老猫に多く見られる病気であり、症状が一見すると老化によるものと誤解されがちです。
しかし、適切な治療によっては良好な予後が期待できるため、愛猫の日常の変化に注意を払い、定期的な健康診断を欠かさず行うことが大切です。
愛猫の健康と幸せな生活のために、飼い主様の継続的なケアと注意が不可欠です。

 

■当院の内分泌科に関連する病気はこちらで解説しています。
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副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)

 

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