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猫のFIP(描伝染性腹膜炎)の原因と症状、治療について|獣医師が解説|秦野市のみかん動物病院

神奈川県秦野市・伊勢原市・平塚市・中井町・二宮町・小田原市の皆様こんにちは。
神奈川県秦野市のみかん動物病院、獣医師森田です。

今回はFIP(描伝染性腹膜炎)の症状と原因や治療について解説いたします。

 

■目次
1. FIP(描伝染性腹膜炎)とは?
2.FIP(猫伝染性腹膜炎)のタイプについて
3.FIP(猫伝染性腹膜炎)でよくみられる初期症状は?
4.当院のFIP治療について

 

 FIP(描伝染性腹膜炎)とは?

猫の腸コロナウイルス(FCoV)が変異を起こし、猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)になることにより「猫伝染性腹膜炎( FIP)」を発症します。
多くは1歳未満で発症しますが、進行が速いと診断後1ヶ月以内で亡くなる場合も多く、非常に恐ろしい病気です。
以前は治療法がないとされていた猫伝染性腹膜炎(FIP)ですが、各国で様々な研究がなされ、最近では薬で治るケースも徐々に増えてきています

感染の詳細なメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、猫の免疫システムの異常な反応が関与しているとされています。
また、ウイルスは糞便や唾液を介して感染し、猫同士の密接な接触は感染リスクを高めることが知られています。

 

FIP(猫伝染性腹膜炎)のタイプについて

FIP(猫伝染性腹膜炎)は下記の3タイプが存在します。

・おなかや胸の内側に腹水や供水が溜まるウェットタイプ(滲出型)
・腎臓や肝臓などの臓器に腫瘍などができるドライタイプ(非滲出型)
・両方の特徴を持つ混合タイプ

ウエットタイプはドライタイプに比べて、症状の進行が早く数日〜数か月で亡くなる場合があります。
一方でドライタイプは、ウエットタイプに比べて緩やかに慢性経過をたどりますが、このタイプの場合も亡くなってしまうケースがほとんどです。
そして混合タイプは、ウエットタイプとドライタイプの両方の特徴を併せ持ったタイプです。

 

FIP(猫伝染性腹膜炎)でよくみられる初期症状は?

症状はタイプによって異なるものの、食欲不振、活動の低下、嘔吐、下痢、発熱、体重減少などは共通の症状として見られます。

<ウエットタイプ>
腹部や胸部の内側に炎症が起きて腹水や胸水が溜まることで、おなかが膨らんだり、呼吸が苦しくなって呼吸困難などの症状が見られます。

<ドライタイプ>
液体などが溜まることはなく、肝臓や腎臓などの臓器において多発性の肉芽腫を生じることが特徴です。
網膜やブドウ膜など、目に炎症性病変を起こすことで眼疾患を起こしたり、脳に炎症を起こすことで、けいれん発作や麻痺といった脳炎の症状を呈することもあります。

 

当院のFIP治療について

かつて治療法がないとされていたFIPですが、最近の研究により、特定の薬剤によって治癒する可能性があることが分かっています。

当院ではモルヌピラビル(人のコロナウイルス治療薬としての承認薬)を使用します。
治療期間は84日間で、お家で1日2回の投薬を行ってもらいます。
通院は1週間に1回で、猫ちゃんの状態に合わせて必要な血液検査、画像検査を行います。
貧血やアルブミン・グロブリン比、胸水、腹水の量やリンパ節のサイズなどから治療効果を判定します。投薬が終了する84日目までしっかり経過観察いたします。
84日目の投薬後、再発症状がなければ1ヶ月毎の定期チェックを行います。数か月、問題なければ寛解と判断し、治療を終了いたします。

また治療過程では、飼い主様との綿密なコミュニケーションが非常に重要となります。治療には時間がかかることもあり、定期的な健康チェックや症状のモニタリングが必要です。
症状が重篤化すると治療が難しくなるため、早期の対応が求められます。

 

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