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内分泌科

犬・猫の副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)の原因と症状、治療について|獣医師が解説|秦野市のみかん動物病院

神奈川県秦野市・伊勢原市・平塚市・中井町・二宮町・小田原市の皆様こんにちは。
神奈川県秦野市のみかん動物病院、獣医師森田です。

副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)とは、腎臓の近くにある副腎から分泌されるホルモン(コルチゾール)が過剰になることで発症する内分泌疾患です。
犬では発生率が高くどの犬種にも見られる疾患ですが、猫での発生は稀です。

今回は、犬と猫の副腎皮質機能亢進症について解説します。

 

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因

犬と猫の副腎皮質機能亢進症の原因としては、副腎からのホルモンの分泌をコントロールしている脳の下垂体の腫瘍化によるものが8~9割を占めており、最も多いと言われています。
次に多い原因としては副腎自体の腫瘍化によるもので、1~2割を占めています
また、まれにステロイド剤の過剰投与によって副腎皮質機能亢進症と同様の症状が表れることもあります。

 

症状

副腎皮質機能亢進症を発症すると、次のような症状が見られます。

多飲多尿
多食
腹部が膨らむ
左右対称の脱毛
筋力の低下
膀胱炎や皮膚炎になりやすくなる  など

これらの症状が見られた場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

 

診断方法

副腎皮質機能亢進症の診断には、次のような検査を行います。

<血液検査>
一般的な血液検査に加えて、ACTH刺激試験という特殊な検査を行い副腎から分泌されるホルモンの量を測定します。

<画像検査>
超音波検査やCT、MRIなどで、副腎や脳の下垂体に腫瘍がないかを確認します。

 

治療方法

<内科療法>
副腎の働きを阻害し、ホルモン(コルチゾール)の分泌を抑制する薬を服用します。
内科療法では症状をコントロールすることが目的となり、病気の根治はできないため生涯の投薬が必要となります。

<外科療法>
下垂体が腫瘍化している場合には下垂体の切除を行い、副腎が腫瘍化している場合には副腎の摘出を行います。
ただし、どちらも専門の設備が必要であることや術後管理の難しさから、実施できる病院は限られます。

<放射線療法>
下垂体の腫瘍が原因である場合には、内科療法と並行して放射線療法を行う場合があります

 

予防法やご家庭での注意点

残念ながら、副腎皮質機能亢進症に対する予防法はありません
ただし、ステロイド剤を長期間投与する必要がある場合には、副腎皮質機能亢進症と同様の症状が見られる副作用もあるため注意が必要となります。
ステロイド剤は獣医師の指示に従って正しく使用するようにしましょう。

また、もしも愛犬や愛猫に気になる様子や症状が見られる場合には、早めに動物病院で診察を受けるようにしましょう。

 

まとめ

犬や猫の副腎皮質機能亢進症は一度発症すると根治は難しく、生涯にわたって投薬治療が必要となることがほとんどです
予防法はありませんが、早い段階で治療を開始することで症状を抑制したり、併発する病気のリスクを減らすことなどが可能になります。
定期的な健康診断を受けることに加え、普段から愛犬・愛猫の様子をよく観察するように心がけ、何か気になる症状がある場合にはすぐに動物病院を受診するようにしてください。

 

■当院の内分泌科に関連する病気はこちらで解説しています。
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〈参考文献〉
・獣医内科学 第2版 小動物編
・犬と猫の治療ガイド2015 私はこうしている 編集 辻本元ら

 

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