症例紹介
尿結石症の原因と症状、治療について|獣医師が解説|秦野市のみかん動物病院
神奈川県秦野市・伊勢原市・平塚市・中井町・二宮町・小田原市の皆様こんにちは。
神奈川県秦野市のみかん動物病院、獣医師の森田です。
尿結石症は、犬や猫の泌尿器系の病気の中でも特に多く見られるもので、「尿石症」とも呼ばれます。この病気は命に関わることもあるため、早期発見と治療がとても大切です。
しかし、症状がはっきり現れないことも多いので、日頃から愛犬や愛猫の排尿の頻度や尿の量、色などを注意深く観察することが重要です。
また、定期的に健康診断を受けることで、尿結石症を早期に発見し、重症化を防ぐことができます。病気が進行すると命に危険が及ぶこともあるため、普段からのケアが欠かせません。
今回は犬と猫の尿結石症について解説します。
■目次
1.尿結石症とは?|愛犬・愛猫の泌尿器系を脅かす小さな結晶
2.尿結石症の症状
3.尿結石症の診断方法
4.尿結石症の治療法
5.愛犬・愛猫を尿結石症から守るために飼い主様ができること
6.まとめ
尿結石症とは?|愛犬・愛猫の泌尿器系を脅かす小さな結晶
尿結石症とは、腎臓や尿管、膀胱、尿道などの尿路のどこかに、ミネラルなどが固まってできる尿結石が原因で、尿が出にくくなったり、排尿時に痛みを感じたりする病気です。尿結石ができた場所によって、尿管にできた場合は「尿管結石」、腎臓にできた場合は「腎結石」と呼ばれます。
生じた尿結石が原因で尿路閉塞を起こし、全く排尿できない状態になってしまうと、数時間から数日で腎不全を引き起こし、最悪の場合、命に関わることもあります。
また、尿結石が原因で尿路に感染が広がると、腎盂腎炎や敗血症を引き起こし、命を落とす危険性もあります。
尿結石症の症状
尿結石症の主な症状には、以下のようなものがあります。
・頻繁に排尿しようとする(頻尿)
・尿の色が濃いオレンジ色から赤色になる(血尿)
・いつもと違う場所で排尿してしまう(トイレの失敗)
・排尿しようとするが尿が出ない(排尿困難)
・嘔吐や、ぐったりして元気がなくなる
ただし、腎結石や片方の尿管にできた尿管結石の場合は、尿路が完全に塞がることがないため、無症状であることがよくあります。
尿結石症の診断方法
犬や猫の状態によって、以下の検査を組み合わせて診断を行います。
・レントゲン検査、エコー検査
尿結石の有無やその位置を確認します。多くの尿結石はレントゲン検査で確認できますが、中にはレントゲンに映らないタイプの結石もあります。
・尿検査
尿結石の種類を特定したり、炎症反応や感染の有無を確認したりします。
・血液検査
尿管や尿路が閉塞している場合、腎不全になっている可能性があるため、血液検査で腎臓の機能を確認します。
また、肝臓の疾患が関連していることもあるため、肝臓の数値もチェックすることがあります。
尿結石症の治療法
尿結石症の治療には、大きく分けて内科療法と外科療法があります。
尿結石には、療法食や薬で溶かすことができるタイプと、溶かせないタイプがあるため、結石の種類や尿路閉塞の有無に応じて治療法を選択します。
<内科療法>
尿路が閉塞していない場合や、尿結石が溶けるタイプである場合に適用される治療法です。薬物療法や食事療法を組み合わせて、結石の縮小や排出を目指します。
特に大切なのは、水分をたくさん摂らせることで尿量を増やし、結石を自然に排出しやすくすることです。
<外科療法>
全身麻酔を用いた手術によって、結石を取り除く治療です。結石の位置によって手術方法が異なります。
当院では、外科治療の一環として、アメリカで近年開発された「SUBシステム」を用いた治療も行っています。
日本ではまだ普及していない方法ですが、再発を繰り返す尿管結石でお困りの場合は、ぜひ当院にご相談ください。
愛犬・愛猫を尿結石症から守るために飼い主様ができること
愛犬や愛猫の健康を守るためには、日頃からのケアが何よりも大切です。そこで、尿結石症を予防するために飼い主様ができる具体的な対策をいくつかご紹介します。
・水分摂取
尿結石症の原因は遺伝や食事内容などさまざまですが、どの原因においても、尿中のミネラル濃度が高くなると結晶ができ、尿結石が形成されます。
そのため、愛犬や愛猫にたっぷりと水分を摂らせ、尿量を増やして尿の濃度を下げることがとても大切です。特に冬場は水分摂取が減りがちで、尿結石症が増える傾向があるため、しっかりと水分を与えるよう注意しましょう。
・食事管理
一度尿結石症を経験した場合は再発しやすいため、結石ができにくいフードに切り替えることが効果的です。おやつも結石の原因となることがあるので、一緒に見直してみましょう。
また、肥満も尿結石症のリスクを高めるため、食事量を適切に管理することが大切です。
・適度な運動
運動不足による肥満や、ストレスからくる膀胱炎が尿結石症を引き起こすことがあります。日頃から適度な運動を取り入れて、愛犬や愛猫の健康を保ちましょう。
まとめ
犬や猫の尿結石症は、重症化すると命に関わることもある非常に危険な病気です。頻尿や血尿、排尿時の違和感など、日頃の様子と少しでも異なるサインが見られたら、決して放置せず、早めにご来院いただくことが重要です。
特に、食欲不振や元気がないといった症状が加わる場合は、病気が進行している可能性が高いため、一刻も早い対応が求められます。愛犬や愛猫の健康を守るために、早期の発見と治療を心がけましょう。
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電話番号:0463-84-4565
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