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犬の糖尿病の原因と症状、治療について|獣医師が解説|秦野市のみかん動物病院

神奈川県秦野市・伊勢原市・平塚市・中井町・二宮町・小田原市の皆様こんにちは。
神奈川県秦野市のみかん動物病院、獣医師森田です。

糖尿病とは、血糖値を下げる働きをするインスリンが機能しなくなり、その結果血液中の糖(ブドウ糖)が異常に増えた状態になってしまう病気です。
人の糖尿病にはインスリンが正常に分泌されなくなる「Ⅰ型」と、インスリンがうまく作用しなくなる「Ⅱ型」がありますが、犬では人でいうⅠ型糖尿病に似た病態が多いと言われています。

今回は、犬の糖尿病について解説していきます。

 

■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点
6.まとめ

 

原因

インスリンは膵臓の細胞から作られ分泌されますが、Ⅰ型糖尿病では細胞の形成不全や、自分の免疫が細胞を攻撃しインスリンが生成できなくなることが原因とされています。
また、Ⅱ型糖尿病では副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)や子宮蓄膿症、甲状腺機能低下症、発情や妊娠、肥満などが引き金となり、インスリンが分泌されても身体に作用しにくくなることで糖尿病が引き起こされることが分かっています。

 

症状

糖尿病になると、次のような症状が表れます。

多飲多尿
体重減少
食欲不振
嘔吐、下痢
抜け毛や脱毛
白内障(急性)

これらの症状が見られた場合には、早めに動物病院を受診しましょう。

 

診断方法

糖尿病を診断するためには、糖尿病で見られる臨床症状の確認に加え、血液検査尿検査を行い高血糖や尿糖の有無を確認します。

 

治療方法

糖尿病と診断された場合には、主に次のような方法で治療を行います。

<インスリン療法>
犬の糖尿病の多くは、治療にインスリンを必要とするため、、毎日決められた時間に食事をし、食後にインスリンを注射する治療が行われます。投与量や使用するインスリンの種類を決定するために、基本的に治療の開始時には数日間入院をする必要があります。

<食事療法>
食後の急激な血糖値の上昇を抑えるために、糖尿病に対応した療法食を使用することが推奨されています。

この他にも、他の疾患が糖尿病の原因となっている場合にはその疾患に対する治療を並行して行ったり、脱水が起こっている場合には輸液療法を、消化器症状などがある場合には症状を抑える薬の投与をするなど、状態や症状に合わせた治療を行う場合もあります。

 

予防法やご家庭での注意点

糖尿病を完全に予防することは困難ですが、肥満にならないように食生活に配慮したり、ストレスを与えないような生活環境を整えるなど、糖尿病を発症するリスクを下げることが重要です。
またメスの場合には、避妊手術をすることで発症のリスクが低下することも知られています。

 

まとめ

糖尿病を発症してしまうと、犬でも人と同じく生涯治療を続けなければならないことがほとんどです。
糖尿病の予防は難しいですが、発見が遅れて病気が進行すると、白内障による視力の低下が起こり、感染症や腎不全などを引き起こして命にかかわる状態になってしまう可能性もあります。

最近、飲水量や尿量が増えた、急に体重が減った、脱毛があるなど、何か気になる症状がある場合には早めに動物病院を受診するように心がけ、病気の早期発見・早期治療に努めましょう。

 

■糖尿病に関連する病気はこちらで解説しています。
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
甲状腺機能低下症

 

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〈参考文献〉
・獣医内科学 第2版 小動物編

 

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