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消化器科

犬や猫の誤飲で開腹手術に?|開腹手術になる前にできる予防と対応策

神奈川県秦野市・伊勢原市・平塚市・中井町・二宮町・小田原市にお住まいの皆さま、こんにちは。
神奈川県秦野市の「みかん動物病院」、獣医師の森田です。

「少し目を離したすきに、愛犬や愛猫が何かを飲み込んでしまったかもしれない」
そんな冷や汗をかくような場面に、心当たりのある飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか。

特に、まだ若い犬や猫は好奇心がとても旺盛で、目に入ったものを「これは何だろう?」と確かめるために、すぐ口に入れてしまう傾向があります。

その結果、意図せず異物を飲み込んでしまい、思いがけない体調不良や、重篤な場合には開腹手術が必要になるケースに至ることもあります。

今回は、犬や猫の異物誤飲がどのような経過で開腹手術に至るのか、手術が必要になるケースやその流れ、そして飼い主様にできる予防と対応について解説します。

 

■目次
1.異物誤飲とは?開腹手術が必要になるケース
2.異物誤飲のサイン
3.開腹手術について
4.術後のケアと回復|自宅でできる見守りポイント
5.異物誤飲を防ぐために|飼い主様ができる身近な予防策
6.まとめ

 

異物誤飲とは?開腹手術が必要になるケース

「異物誤飲」とは、犬や猫が本来口にするはずのないものを、うっかり飲み込んでしまうことを指します。
誤飲のリスクがあるものとしては、以下のようなものが挙げられます。

・おもちゃの破片
・ビニール袋やラップ
・タオルや靴下などの布類
・ヒモや毛糸などの細長いもの
・小さなプラスチック片や金属片 など

こうした異物が胃や腸に入り込んでしまうと、消化物の通過を妨げたり、腸に絡みついたりすることで、「腸閉塞」などの重篤な症状を引き起こすことがあります。

もちろん、異物の大きさや形状によっては、自然に便と一緒に排出されるケースもありますが、腸内に詰まってしまった場合には内視鏡での摘出や、場合によっては開腹手術が必要になることもあります。

内視鏡についてはこちらで解説しています

 

中でも特に注意が必要なのが、「ヒモ状の異物」です。

これが腸に引っかかってしまうと、腸が縮んでねじれたり、場合によっては破れてしまうリスクもあります。
こうなると内視鏡では対応できず、開腹手術が避けられません。

また、内視鏡で異物の摘出が可能なのは、基本的にそれがまだ胃の中にある場合に限られます
時間が経過すると異物は腸まで移動してしまい、そうなると「手術以外に方法がない」という状態になってしまうことも少なくありません。

 

異物誤飲のサイン

犬や猫が異物を飲み込んでしまった場合、その種類や大きさ、そして体内のどこに詰まっているかによって現れる症状はさまざまです。

しかし、いくつかの共通するサインがありますので、早期発見のために知っておくことが大切です。

 

<軽度の症状(誤飲の初期に見られることが多いもの)>

・食欲が落ちている
・吐きそうな仕草を繰り返す
・元気がない、動きたがらない
・よだれの量が増えている

この段階では、異物がまだ胃の中にとどまっている可能性が高く、異物の大きさや種類によっては内視鏡によって摘出できることも少なくありません。

 

<重度の症状(緊急性が高い状態)>

・何度も嘔吐を繰り返す
・下痢が続く、または便が出ない(腸閉塞の可能性)
・お腹が膨れている、触られるのを嫌がる
・呼吸が荒く、ぐったりして動かない

これらの症状が見られる場合、すでに異物が腸へ移動してしまっている可能性があり、開腹手術が必要になるケースもあります。

便秘についてはこちらで解説しています

 

「何か飲み込んだかもしれない」「いつもと様子が違う」と感じたときは、決して様子を見ず、すぐに動物病院へご相談ください。
時間が経つほど異物は胃から腸へと進み、内視鏡では対応できなくなってしまうリスクが高まります。
早期に受診し、レントゲンや超音波検査などで異物の位置や状態を確認できれば、より負担の少ない処置を選択できる可能性も高くなります。

 

開腹手術について

実際にどのように手術が進んでいくのかをご説明いたします。

 

<手術前に行う検査>

まずは、異物が体のどこにあるのか、どのような状態なのかを把握するため、以下のような画像検査が行われます。

レントゲン検査
超音波検査
・必要に応じて、造影剤を使用した検査(異物の通過状況を詳しく確認する目的で実施)

また、全身麻酔が安全に行えるかどうかを判断するために、血液検査で内臓の状態や体調を確認します。
これにより、手術に向けてのリスクを最小限に抑える準備が整えられます。

 

<手術の進み方>

もし、内視鏡での摘出が難しいと判断された場合には、全身麻酔をかけたうえで開腹手術が行われます。

手術では、異物の位置に応じて胃を開いて取り出す「胃切開」、または腸を開いて取り出す「腸切開」といった処置が選択され、慎重に異物を取り除きます。

この際、胃や腸の周囲に炎症や損傷が見られた場合には、その部分を丁寧に確認し、必要であれば損傷部位の切除など追加の処置も行われます。

 

<手術時間の目安>

手術にかかる時間は、そのときの状態によって異なりますが、多くの場合は1〜2時間程度で終わるケースが一般的です。

ただし、異物が複数ある、腸に穴が開いている(穿孔)、強い炎症や癒着があるといった場合は、処置が複雑になるため、手術時間が長引くこともあります。

 

術後のケアと回復|自宅でできる見守りポイント

開腹手術が無事に終了し、ほっと一安心したあとも、術後の経過や自宅でのケアについて不安を感じる飼い主様は少なくありません。

ここでは、入院中の管理から退院後の注意点まで、術後の流れと自宅での見守りのポイントについてご説明いたします。

 

入院中の管理について
手術後は、麻酔からの覚醒状態を慎重に確認しながら、点滴や鎮痛薬を使用し、全身状態を安定させるための管理が行われます。
入院期間の目安は4〜7日間程度ですが、症状の程度や術後の経過によっては、これより長くなる場合もあります。

 

退院後の食事管理
退院後、最初に注意すべき点のひとつが食事内容です。
いきなり通常のフードに戻すのではなく、以下のような消化に配慮された食事を少量ずつ与えることが推奨されます。

・獣医師から処方された療法食
・ふやかしたドライフード
・柔らかい缶詰タイプのフード など

また、嘔吐・下痢・食欲不振など、体調の変化がないかを日々観察してください。

 

傷口の管理と保護
術創部(手術の傷)を舐めたり擦ったりすることで、炎症や感染、縫合部の離開を引き起こすおそれがあります。

そのため、エリザベスカラーの装着などにより物理的に保護することが一般的です。
多少不自由に感じることがあっても、創部の治癒を優先し、獣医師の指示がある期間は外さずに着用することが望まれます。

 

安静期間と運動再開の目安
開腹手術後は、体内の臓器にも処置が加えられているため、見た目以上に安静が必要です。
術後2〜3週間程度は、ジャンプや走るなどの激しい運動は控えてください

散歩を再開する場合も、まずは短時間から始め、体調や創部の状態を確認しながら獣医師の指示に基づいて段階的に運動量を戻すことが推奨されます。

 

抜糸の時期
皮膚を縫合している場合、抜糸の目安は術後10〜14日頃とされていますが、創部の治癒状態には個体差があるため、獣医師の診察を受けたうえで判断されます。

術後の経過観察においては、飼い主様による日々の見守りが非常に重要な役割を果たします。
少しでも「普段と違う」と感じた場合には、自己判断を避け、速やかに動物病院へご相談ください。

 

異物誤飲を防ぐために|飼い主様ができる身近な予防策

異物誤飲は、少しの工夫や日常の見直しによって、ある程度リスクを減らすことが可能です。

もちろん、すべての事故を完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、「うちの子に限って大丈夫」と考えるのは危険です。
愛犬・愛猫の健康を守るために、あらためて身の回りの環境や接し方を見直してみましょう。

 

室内の環境をチェックしましょう
室内に誤飲の原因となり得るものが落ちていないか確認してください。

犬や猫にとっては、私たちが気に留めないようなものでも、興味を引く“おもちゃ”のように見えることがあります。
こまめな掃除や整理整頓は、非常に効果的な予防策のひとつです。

 

散歩中の「拾い食い」に注意
散歩中に異物を口にしてしまうケースも少なくありません。
道端や草むらに落ちているゴミや食べ残しなどに反応し、飼い主様が気づく前に飲み込んでしまうことがあります。

また、犬は嗅覚が非常に鋭いため、人間の目には見えにくい異物でもすぐに探し当ててしまいます。リードは短めに持ち、常に視界の届く範囲で管理しましょう。

犬が食べると危険な植物についてはこちらで解説しています

 

おもちゃの管理と選定
普段から使用しているおもちゃにも、異物誤飲のリスクが潜んでいる場合があります。
特に、サイズが小さいものや、容易に破損して破片が生じるようなおもちゃは注意が必要です。

おもちゃを選ぶ際は、耐久性に優れ、誤って丸ごと飲み込んでしまうことのない大きさであるかどうかを基準としてください。

 

基本的なコマンドの習得
「待て」や「離せ」といった基本的なコマンドを日常的に訓練しておくことで、誤飲のリスクを大きく下げることが可能です。

万が一、異物をくわえてしまった場合でも、飼い主様の指示で安全に口から離させることができれば、大事に至らずに済むケースもあります。

 

まとめ

異物誤飲は、どのご家庭でも起こり得る、非常に身近なトラブルのひとつです。

特に、若齢の犬や猫、また好奇心の強い性格の個体では、目についたものを本能的に口へ運んでしまう傾向があるため、日常生活においても、飼い主様による継続的な注意と観察が重要となります。

また、「何かを飲み込んだかもしれない」「普段と様子が違う」と感じた際には、自己判断で様子を見ず、できるだけ早めに動物病院を受診してください。

早期の対応が可能であれば、内視鏡による摘出が適応されることもあり、開腹手術を回避できる可能性が高まります。

 

■当院の予約はこちら
電話番号:0463-84-4565
web予約:https://mkn-a-hospital.reserve.ne.jp/

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