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消化器科

愛犬・愛猫の肛門から赤い塊が!直腸脱の症状と適切な治療選択肢

愛犬・愛猫の肛門から“赤い塊”のようなものが突然飛び出していたら、飼い主様は驚きと不安でいっぱいになると思います。

その赤い塊は直腸脱と呼ばれる状態です。見た目のインパクトが大きく、動揺される方も多い疾患ですが、適切な治療を行うことで改善が見込めるケースがほとんどです。

しかし、時間が経過すると粘膜がどんどん腫れて血流が低下し、ひどい場合には壊死してしまうこともあります。

今回は、犬や猫の直腸脱について、飼い主様に知っておいていただきたいポイントを詳しく解説します。

 

■目次
1.直腸脱とは?症状と緊急度
2.直腸脱が起こる原因
3.診断と治療方針の決定
4.治療法
5.術後管理と再発予防
6.まとめ

 

直腸脱とは?症状と緊急度

直腸脱とは、直腸の粘膜が肛門から反転して外に飛び出してしまう状態をいいます。
赤く円柱状に見えることが多く、排便後に一部だけ飛び出す軽度のものから、数センチ以上脱出したまま戻らなくなる重度のものまでさまざまです。

直腸脱が起こった犬・猫たちは強い違和感や痛みを覚え、落ち着かなくなることが多いです。
主な症状は以下の通りです。

・肛門から赤い塊(粘膜)が出ている
・排便時に強くいきむ
・出血が見られる
・お尻のあたりをしきりに舐める

 

<粘膜の色は?壊死が進行する前に病院へ>

そして特に注意したいのは、出ている粘膜の色の変化です。
むくみが見られたり、黒っぽくなってきたりしていたら、血流が悪化し壊死し始めているサインです。

飼い主様ができる応急処置の一例です。

・ワセリンや保湿剤で乾燥を防ぐ
・無理に押し戻そうとしない
・舐めないようにエリザベスカラーをつける

しかし何よりも大切なのは、できるだけ早く動物病院へお越しいただき、速やかに治療を受けることです。

 

直腸脱が起こる原因

直腸脱の背景には、強い「いきみ」を引き起こす疾患が潜んでいることがほとんどです。

具体的には、
・慢性下痢や便秘
・腸内寄生虫感染(特に子犬・子猫に多い)
・膀胱結石・前立腺肥大などの泌尿器疾患
・出産に伴ういきみ
・神経疾患による排便障害
などが挙げられます。

直腸脱そのものを治しても、根本原因を放置すると再発のリスクが高いため、原因の特定と治療がとても重要です。

便秘についてはこちらで解説しています
寄生虫についてはこちらで解説しています
膀胱結石についてはこちらで解説しています

 

診断と治療方針の決定

来院後はまず、飛び出した直腸の状態(色・腫れ・壊死の有無)を確認し、全身状態をチェックします。
併せて、直腸脱に至った原因を精査し、再発の可能性を減らすための治療方針を立てていきます。

 

治療法

脱出が軽度の場合は、やさしく押し戻して肛門周囲を縫合(巾着縫合)して整復します。
また、原因疾患の治療も行い、いきみの元を取り除くことで再発を防止します。

しかし、粘膜が壊死している場合腸の脱出が重度の場合何度も再発する場合手術での切除が必要です。

 

<今回の症例>

突出した直腸。ピンク~赤みが目立つ。

この症例では飛び出した直腸の一部が壊死を起こし、粘膜の色が悪くなっています。

実際の症例写真/左:切除後の様子でお尻のあたりに穴が開いている/右:摘出された赤黒い直腸

そのため、硬膜外麻酔下での直腸切除を行いました。
摘出した直腸は病理組織検査に送り、腫瘍などがないかを確認します。

 

術後管理と再発予防

治療後は、特に以下のポイントがとても重要です。

・排便コントロール(硬すぎず柔らかすぎない便になるよう調整する)
・そのために、消化の良い食事繊維調整食を使用
・基礎疾患がある場合は、その継続治療

また、治療後数週間は特に再発しやすいため、排便時の様子や肛門の色のチェックが大切です。異常を感じた場合は早めにご相談ください。

 

まとめ

直腸脱は見た目の衝撃が大きく、飼い主様にとって非常に心配な疾患です。しかし早期に適切な治療を行えば改善できることがほとんどです。
そして、再発防止に不可欠なのは「なぜ直腸脱が起きたのか」という根本原因の治療です。

当院では、直腸脱の緊急処置から、原因疾患の治療・再発防止のサポートまで、総合的に対応しております。
「もしかして…?」と感じたら、どうぞお気軽にご相談ください。大切な家族の健康を守るお手伝いをさせていただきます。

 

■当院の予約はこちら
電話番号:0463-84-4565
web予約:https://mkn-a-hospital.reserve.ne.jp/

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