症例紹介

脳・神経科

てんかん

てんかんとは、脳神経系の病気です。犬や猫で発症する可能性があり、全身にわたるけいれんや意識の消失が起こります
このてんかんという疾患はどのような原因で生じるのか、そしてどのように対応していくべきなのか、予防できるのか、などについて解説します。

原因

てんかんの定義は「脳の神経細胞が、何らかの理由で異常な興奮を引き起こし、発作を繰り返し生じるもの」とされています。
発症する原因がはっきりしていない「特発性てんかん」外傷や腫瘍に付随して生じる「構造的てんかん」の大きく2つに分けられます

あらゆる年齢で発症する可能性がありますが、若齢から中年齢では特発性てんかんが、高齢になると腫瘍に関連した構造的てんかんが増加します。
また、水頭症のような先天的な疾患が要因となっててんかんに至る例もあります。

症状


てんかんの主な症状は「けいれん」です。
意識がなくなり、全身が引きつってしまうような発作が数秒から数分間続くことが典型例です
その際よだれの増加や、糞便や尿の失禁を生じることがあります

一方で部分発作と呼ばれるような四肢や顔面などの一部で硬直や引きつりなどを起こす例もあります。

身体の異常がみられる前に、急に不安そうな様子やうろうろ動き回るといった行動を示すことがあります。
発作後、ケロッと何事もなかったかのように回復する例もあれば、1~2日程度元気や食欲が低下することがあります。

発作が納まらず、一つの発作の最中にさらに新しい発作が連なるものを「重積」と呼びます。
この重積を生じた状態は、自然回復させるタイミングが得られない状態のため、迅速に発作から回復させるための治療が必要です。

診察方法


まずは、てんかんと同じような発作が起こる病気を持っていないかを調べていきます。

一般的には、発作が起こる病気の分類として

・循環器疾患
・代謝性疾患(肝臓、腎臓などの各種臓器、電解質異常、中毒物質の影響など)
・脳神経疾患

などがあり、これらを除外していくことで、てんかんの判断をしていきます。

てんかんでは重積状態でない限り、診察時に異常がみられることがまれです。
したがって、いつ、どのような状況で、どれくらいの時間の発作が起こったかをご家族さまから聞き取りをします。
また、発作時の動画が撮れるようであれば診断を行う上で役立ちます。

治療方法


治療は抗けいれん薬を継続して使用することとなります。
適切な投与量を調整するために、定期的な診察と血液中の薬物濃度の測定を行います。
お薬によってできるだけ発作が生じにくい状態を維持することが目的となります。

予防方法


てんかんと呼ばれる病気を完全に予防する方法は残念ながらありません。
そのため、いかに発作を再発させないかが重要となります。
獣医師から処方されたお薬を適切に使用すること、そして脳に強い刺激を与えるような音やフラッシュのような視覚的な刺激を与えないようにすることは発作の誘発を予防する手段となります。

まとめ


てんかんは原因が様々であり、しかも治療が長期に及ぶことが多い疾患です。
根本治療は難しいものの、適切な治療でできるだけ発作を起こさないからだと環境づくりを行うことが非常に重要となります。
少しでも気になる症状などが現れた際は当院にご相談ください。

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