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犬・猫の結膜炎の原因と症状、治療について|獣医師が解説|秦野市のみかん動物病院

神奈川県秦野市・伊勢原市・平塚市・中井町・二宮町・小田原市の皆様こんにちは。
神奈川県秦野市のみかん動物病院、獣医師森田です。

結膜炎とは、まぶたの内側にある白目の部分を覆っている結膜と、眼球をつなぐ薄い粘膜が炎症を起こしている状態です。この疾患は、感染やアレルギー、眼の病気によるものなど、原因は多岐にわたるため、それぞれに適した治療が必要となります。

今回は犬と猫の結膜炎について、症状や治療方法、予防方法などを詳しく解説します。

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■目次
1.原因
2.症状
3.診断方法
4.治療方法
5.予防法やご家庭での注意点

 

原因

結膜炎の原因は大きく分けて感染性非感染性に分類されます。
感染性結膜炎では、ウイルスや細菌、寄生虫が原因で起こり、特に猫ではカリシウイルスやヘルペスウイルス、クラミジアによるものが多く見られます。
ウイルスや細菌による感染が発生した場合、猫同士で容易に感染が広がるため、多頭飼育の環境では隔離などの対策が必要になります。特に、猫クラミジアが原因の場合は、人にも感染するリスクがありますので、感染した猫に触れた後は、手をしっかり洗い消毒ることが大切です。

非感染性結膜炎は感染以外の原因で起こる結膜炎です。
主に、外傷、異物、アレルギー、逆さまつげ、眼瞼内反症、チェリーアイ(第三眼瞼腺逸脱)などまぶたの病気、ドライアイ、緑内障、ぶどう膜炎など眼の病気などが要因となります。

また、結膜炎はどの年齢の犬猫にも発生する可能性がありますが、特に感染性結膜炎は、免疫力がまだ安定していない子犬や子猫、高齢の犬猫、基礎疾患を持つ犬猫に多く見られる傾向があります。

 

症状

以下、ひとつでも気になる症状がある場合は、動物病院で相談しましょう。

眼をよくこする
痛みやかゆみがあると、眼を前足で引っかき、床や壁に眼をこすりつけます。

眼が充血している
白目の部分や眼の縁、まぶたの裏に充血が見られます。

涙や目やにが多い
眼の周りが常に湿っている状態や、一日に何度も涙や目やにを拭き取る必要がある場合は、通常よりも涙の分泌量が多い可能性が考えられます。
健康な目やにの色は通常、乳白色から赤褐色ですが、結膜炎にかかった場合、黄緑色で粘り気のある状態に変わることがあります。

眼の周りが腫れる
炎症が進行すると、まぶたの内側の結膜に水分が溜まり、ぷっくりと膨らんだ「結膜浮腫」が発生することがあります。症状が重くなると、眼の周囲や眼全体が腫れ上がることもあります。

 

診断方法

結膜炎の適切な治療を行うためには、原因を正確に把握する必要があります。そのため、結膜炎が疑われる場合、以下のような検査を行い、その原因を探ります。

一般眼科検査:ライトを使って眼を照らし、結膜だけでなく、まぶたやまつ毛など眼全体の観察を行います。

スリットランプ検査:細い光を当てて、より細かい傷や異常がないかを確認します。

フルオレセイン検査:特殊な染色液を用いて、角膜に傷がないかを確認します。

シルマーティアテスト:涙の分泌量を測定し、過剰ではないか、またはドライアイではないかを確認します。

眼圧検査:緑内障の有無を確認するために眼圧を測定します。

治療をしても症状が改善しない場合は、これらの検査に加えて、アレルギー検査、血液検査、細菌検査などを行うこともあります。

 

治療方法

結膜炎の原因に応じて適切な治療が行われます。
感染性結膜炎の場合は、細菌やウイルスの増殖を抑える抗菌剤やインターフェロンなどの薬を投与します。点眼薬や薬の効果を高めるために、眼軟膏を使用して治療します。

異物が原因である場合や、目やにがひどい場合は、生理食塩水や点眼薬で眼の表面を洗浄し、異物を除去します。その後、消炎剤や抗菌剤の点眼薬や眼軟膏で治療を行い、逆さまつ毛があれば抜く処置が必要です。症状の悪化を防ぐために、保護具(エリザベスカラー)を使用することがあります。

眼瞼内反症やチェリーアイのような状態は、手術が必要な場合もあります。また、緑内障などの眼の病気が原因である場合は、その病気に対する治療を行います。

どの原因であっても、炎症がひどい場合は抗炎症薬を投与することがあり、症状に応じて内服薬や注射を使用することもあります。

 

予防法やご家庭での注意点

結膜炎は原因が多種多様なため、予防法は一律ではありませんが、特に感染性結膜炎の予防には、他の動物からの感染を防ぐために混合ワクチンの接種が効果的です。ワクチンの種類によって予防できる病気が異なるので、動物病院で相談し、適切なワクチンを選択することが大切です。
また、ストレスの少ない生活環境を整えて免疫力を維持することも重要です。猫の場合は、完全室内飼育を行うことも予防に繋がります。

また、非感染性結膜炎は、眼やまぶたの病気が原因になることがあります。
適切な室温と湿度の維持も犬や猫の健康には非常に重要です。眼の表面は涙の膜で保護されており、乾燥するとこの保護機能が低下してしまうので、快適な温度と湿度を保つようにしましょう。

 

まとめ

結膜炎はまぶたの裏側と白目に症状が現れるため、比較的気付きやすい症状ですが、原因に応じた適切な治療が必要です。異変に気がついた際は早めに動物病院で相談しましょう。

 

■当院の眼科に関連する病気はこちらで解説しています
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角膜ジストロフィー
眼瞼内反症
角膜潰瘍

 

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