症例紹介
交通事故によるペットの骨盤骨折|緊急時の対応と治療の選択肢
こんにちは。神奈川県秦野市の「みかん動物病院」獣医師の森田です。
大切な愛犬や愛猫が交通事故や転落などで怪我をしてしまったとき、飼い主様の心は大きな不安でいっぱいになると思います。
なかでも「骨盤骨折」と診断されると、今後の歩行や生活への影響が気になりますよね。
骨盤骨折は確かに緊急性の高いケガですが、適切な治療を受ければ回復が見込めるケースも多くあります。
早期の診断と治療がその後の生活の質を左右する大切なポイントです。
今回は、骨盤骨折についての対応や治療法を症例を交えながら解説します。
交通事故など緊急時の対応と治療の選択肢を知っておくことで、大切な家族の万が一に備えておきましょう。
■目次
1.骨盤骨折とは?主な原因と症状
2.診断方法と骨折の重症度判定
3.治療の選択肢
4.手術後の管理とリハビリテーション
5.合併症と予防できること
6.まとめ
骨盤骨折とは?主な原因と症状
骨盤は体の中心を支える大きな骨であり、後ろ足の動きや排泄機能に深く関わっています。そのため骨折すると、歩行や排泄が困難になることがあります。
<骨盤骨折の主な原因>
・交通事故(車にはねられる、巻き込まれる)
・高所からの落下
・大型犬との衝突や噛傷事故
特に子犬やシニアの犬・猫は骨がもろくなっているため、ちょっとした衝撃でも骨折するリスクがあります。
<骨盤骨折の症状例>
・後ろ足を動かせない、立てない
・強い痛みで鳴く、動こうとしない
・排尿・排便ができない
特に排尿・排便障害がある場合は緊急度が高いため、すぐに動物病院での対応が必要です。
無理に動かさず、できるだけ体を固定して病院へ連れていきましょう。
診断方法と骨折の重症度判定
診断の基本はレントゲン検査です。骨折した部位やズレの程度を確認し、治療方針を判断します。
さらに複雑な骨折や内臓損傷が疑われる場合には、CT検査を行うことでより詳細な判定が可能です。
骨盤の近くには神経や膀胱・直腸といった臓器があるため、それらにダメージがあるかどうかを見極めることが非常に大切です。
骨のズレがほぼない非転移骨折は重症度が低いといえるでしょう。
一方で骨のズレが大きい転移骨折や関節を含む箇所で骨折している場合は重症度が高いです。
治療の選択肢
骨盤骨折の治療は、骨折の程度によって選択されます。
◆軽度の骨折
前述のように、骨のズレが小さい場合は「ケージレスト(安静療法)」で自然治癒を待つことも可能です。ただし長期間の安静が必要で、完全に元通りになるとは限りません。
◆外科手術が必要な重度な骨折
骨が大きくずれている、関節を含む場所で骨折している、排泄機能に障害がある場合には手術が必要です。
<骨盤骨折時の手術方法とは?>
・スクリュー固定
・金属プレートによる固定
・Kワイヤーを用いた固定
手術はタイミングが非常に重要で、できるだけ早期に行うことが重要です。早いほど合併症を防ぎ、より良い予後が期待できます。
<症例1>
こちらの症例では、仙腸関節と恥骨の骨折が認められます。
関節部位を含んだ骨折のため、スクリューを用いて骨を固定する手術をしました。

<症例2>
こちらの場合は、腸骨が折れて位置が大きくずれています。
これに対してはプレートでの固定と整復を行いました。

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手術後の管理とリハビリテーション
手術後は数週間の安静が必要です。無理に動かすと再び骨がずれる危険がありますので、ケージでの生活管理が基本となります。その後は少しずつリハビリを取り入れます。
リハビリには、「軽いマッサージ」「温熱療法」「歩行訓練」などがあり、筋力の維持や関節の柔軟性回復に役立ちます。
また、自宅でのケアも必要不可欠です。関節をゆっくりとマッサージやストレッチをしてあげること、転倒や滑りやすい場所を避けること、排泄の補助をすることなどできることがたくさんあります。
動物病院とも相談しながら、焦らずじっくりと進めていきましょう。
合併症と予防できること
骨盤骨折を治療しない場合、後遺症として歩行障害や排泄困難が残ることがあります。
手術後もまれに、感染や骨の癒合不全、神経障害が起こることがありますが、獣医師の指導のもと適切に対応すれば多くは改善できます。
<日々の事故防止策>
事故を未然に防ぐためにも以下のような工夫をすると良いでしょう。
・散歩中はリードをしっかり持つ
・猫は室内飼育を基本とし、ベランダや窓からの転落を防ぐ
・他の動物との接触時には十分に注意する
そして骨折が疑われるときは様子見をしすぎずに、すぐ受診をすることが、後遺症を防ぐ最善の方法です。
まとめ
交通事故や落下による骨盤骨折は、確かに重篤な怪我です。
しかし、正確な診断と適切な治療を受ければ、歩行機能や生活の質を大きく取り戻すことが可能です。大切なのは早期の対応と「前向きに治療に向き合っていく」ことです。
そしてそのためには、信頼できる動物病院とのコミュニケーションが非常に重要です。
みかん動物病院は、骨折などの整形外科疾患にも対応できる体制を整えています。小さなご心配やお困りごともいつでもお気軽にご相談ください。
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