症例紹介
消化器科
巨大結腸症
巨大結腸症とは、結腸が持続的に広がり、動きが悪くなる状態のことで、重度の便秘を伴います。
結腸がずっと広がっている状態が続くと、結腸の壁の神経や筋肉が退化します。
それにより結腸の機能が低下し、どんどん便を溜め込みます。
長時間腸に留まった便は水分が吸収され、大きく硬くなり、さらに排便が困難になります。
最終的には、お腹の中が便だらけになってしまいます。
便の中の菌の代謝物を吸収することで脱水や食欲不振が生じ、死に至ることがある恐ろしい病気です。
治療としては、便を軟らかくするお薬や療法食などを使い、定期的な摘便処置を行います。
ただ、何度も何度も繰り返す場合は、外科的治療を検討します。
開腹し、拡張した結腸の一部を切除して縫い詰める手術です。
手術により、とてもいい結果が得られることもありますが、腹膜炎などの合併症が起こることもあるため、外科的治療を選択するかどうかは、再発の頻度や猫の状態を考慮する必要があります。
切除後、結腸の縫合を行いました。
手術後はやや軟らかいくらいの便が出るようになり、便秘が解消され快適な状態が続いています。